“Good Company”を目指して
進化を加速させる

イノベーションによって社会のレジリエンスが高まりますが、逆に新たなリスクが表面化することもあります。保険会社である東京海上キルン(Tokio Marine Kiln/TMK)のブラッド・アイリックCEOが、よりたくましい社会を実現するためのテクノロジーや取り組みを支援する東京海上キルンの取り組みについて説明します。

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グローバルに事業を展開する東京海上グループの小宮暁CEOはアニュアルレポートで、今は「これまでの常識や過去の成功体験が通用しない不連続な時代」だと述べています。「地政学・地経学リスクはますます増大」し、自然災害やエネルギー危機、サプライチェーンの分断などの事象が「世界的な影響の連鎖」をもたらしています。[1]

東京海上グループの一員として、ロンドンを拠点に、複雑な予測が難しいリスクに対して保険商品を提供するロイズ・シンジケートを運営する東京海上キルン(Tokio Marine Kiln/TMK)のブラッド・アイリックCEOは「TMKのような保険会社は、お客様を長期的に脅威から守り、お客様が安心して前進できるよう、リスクを巧みに予測・管理する必要がある」と語ります。「私たちの最も重要な役目は、お客様の成長や発展をサポートし、必要とされるときにお支えすることです。」

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東京海上キルン(Tokio Marine Kiln)、ブラッド・アイリックCEO

保険のお引受けにおけるイノベーション

2020年1月にCEOに就任したアイリック氏にとって、これまでの在任期間で特に大きな転機となったのはコロナ禍でした。世界が変化する中で、換気装置の製造に乗り出したモータースポーツメーカーや、手指消毒剤の生産に移行したアルコール蒸留所など、いちはやく変化に適応したお客様に保険を提供しました。TMKは、新型コロナウイルスワクチンを流通させるためのグローバルに保険商品をお届けする取り組みにも参加しました。今回のパンデミック、そして小宮氏が言うところの「影響の連鎖」によって、組織、都市、そして社会全体のリスクが浮き彫りになり、レジリエンス向上の必要性が明らかになりました。

「保険は、技術革新によるイノベーションを支えることで、レジリエンスを向上させるという非常に重要な役割を果たしています」とアイリック氏は説明します。例えば、TMKは知的財産を取り巻くリスクを対象とした保険商品を通じて、電力を使わずにワクチンを冷却する画期的な技術の特許を取得した企業に保険を提供しています。また、人工知能を駆使して患者の診断向上に取り組む企業にサイバー保険を提供するほか、次世代の宇宙旅行を支援する活動も行っています。

TMKは今年、ライフサイエンス企業向けの新商品を発売し、臨床試験に関連するリスク等の補償に加えて、サイバー保険や知的財産保険も提供するようになりました。ライフサイエンス業界でも特に革新的で成長著しいフェムヘルスやフェムテックの分野で、新しい技術やサービスの開発を後押しするというねらいもあります。

「知的財産リスクへの保険の必要性はますます高まっています。新しいアイデアを守る仕組みがあると分かっていれば、お客様は安心して開発を進めることができます」とアイリック氏は言います。このことは、グリーンエネルギーへの移行を支える産業全般にも当てはまります。よりクリーンな発電施設を整備するには、財産保険はもちろん、従業員を守り、水素のような新しいエネルギー源に関連する新たなリスクに備えるための保険も必要になります。

このような新技術によって新たなリスクが生じれば、保険会社はそれらに対応する新たな解決方法を見つける必要があります。それこそが「ロイズ市場の強みの一つ」だとアイリック氏は言います。「革新性に満ちたロイズ市場の歴史とその成り立ちは、複雑なリスクを保険という仕組みを使って対応することに軸足を置いてきたため、お客様は安心して新たなリスクに対処することができます。」

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「新しいアイデアを守る仕組みがあると分かっていれば、お客様は安心して開発を進めることができます」

東京海上キルン(Tokio Marine Kiln)、ブラッド・アイリックCEO

レジリエントな社会を支えるレジリエントな業界

ロイズ市場(ロイズ・オブ・ロンドン:Lloyd’s of London)は過去1世紀にわたり、さまざまな保険引受シンジケートや保険引受の資本の提供主体(ネーム)が、リスクを過小評価することで大きな損失に直面する様子を目の当たりにしてきました。しかし今では、データの蓄積と分析力の強化によって保険市場そのもののレジリエンスが向上しています。

アイリック氏はこう語ります。「この10~20年でテクノロジーとモデル化の手法が進歩し、以前にはなかった方法で企業をお守りできるようになりました。このテクノロジーを活用することこそ保険会社が『長期的に存続し、株主を守り、お客様のニーズに応え続けるために必要な真のスキル』なのです。」

ロンドン市場は、先進的な保険引受を行う専門家が集まるエコシステムで知られています。このエコシステムを支えているのは、業界の課題をテクノロジーで克服するサービスプロバイダーや起業家です。2018年の設立以来、TMKが積極的に支援しているロイズ・ラボでは、10週間のインシュアテック・アクセラレーター・プログラムを運営しています。このプログラムに参加するスタートアップチームは、データ、モデル、プロセス、アジア太平洋地域の気候変動リスク、サイバー攻撃の脅威などのテーマを中心に、起業家が投資を求めるテレビ番組のような形式で独自のソリューションをアピールします。そこで選ばれた勝者は、リスクマネージャーが事業や社会の課題解決に活用できるような、実際の保険商品を開発するために、ロイズ・ラボをメンターとする指導を受けます。

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TMKは、ロイズ・プロダクト・ローンチパッド(Lloyd’s Product Launchpad)プログラムのリーダーとして、このエコシステムをサポートしています。同プログラムでは、暗号通貨やクラウドコンピューティング、さらには体外受精(IVF)などの新たなリスクに対応した画期的な保険商品を開発するために、このプログラムを通じて保険会社が新たな挑戦をしやすい環境を創っています。

「もちろん、その過程で何らかの利益を上げたいですね」とアイリック氏は言います。持続可能で収益性の高い保険事業は、社会にも恩恵をもたらします。「保険を通じて投資を後押しし、世界に貢献します。私たちは、世のため、人のためになる『良い会社(Good Company)』をこれからも目指します」

「保険を通じて投資を後押しし、世界に貢献します。私たちは、世のため、人のためになる『良い会社(Good Company)』をこれからも目指します」

東京海上キルン(Tokio Marine Kiln)、ブラッド・アイリックCEO

東京海上ホールディングス「2022 統合レポート」3ページ

東京海上グループは、世界有数の規模と歴史を誇る保険会社であり、1879年の創立以来、お客様と地域社会の’いざ’をお守りするというパーパスのもとで、保険をコアビジネスとして成長を遂げてきた。

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